「夢はいつでも現実のそばに♡」

<これは2021/04/09に🎮シノ🐈:Vtuber|pixivFANBOX で公開した同名記事の転載です>

 

 「どうも、もずくです。ぼーっと過ごしていたら3月の終わりも近づいてきたので慌てて記事を書いています……」という文を書いて放置してたら4月になりました。今日はいい感じの雑談記事を書いてみようと思います。ここで、読書感想文に飽きたわけではないということを念押ししておきます。書きたい小説はいくつか決まっているのだけれど、「やるか……!」という気分にならないと書けないのです。これまでの2つの感想文はやることがいっぱいある時に息抜き(現実逃避)で書いたものなので、忙しくなったら「やるか!」となるかもしれません。やろう。

 

 突然ですが、某お台場放送局の「逃走中」シリーズは視聴したことがあるでしょうか。黒スーツサングラスのお兄さんおじさん……もとい「ハンター」から逃げ切ったら賞金をもらうという、アレです。小学生の大半が好きだと思います。私はこの番組がとっても大好きです。まずハンターという存在が良い。無表情で観覧車に乗っているのとか、凍らせられて停止しちゃうのとかキュートですよね。テレビでは体育会系のキリッとしたグラサンお兄さんが走っているようにしか見えないのですが、実は彼らはアンドロイドなので急激な温度変化に弱いとされています。そして、ハンターやらミッションやらを操っているのは未来の月にある大企業、クロノス社所属のゲームマスターで、彼らは逃走中を地球で開催することで莫大な資金を得ているらしいのです。どうやって資金を得てるんだろう、やっぱり賭博かな…… それとも私たちには見えないだけで月で放映されている「逃走中」は広告が大量に挿入されているのかも。大きいスタジアムで熱狂するような描写があったし日本の野球みたいな娯楽なのかもしれないですね。一時期は月の大企業の「逃走中」ビジネスをめぐって大変な企業争いが繰り広げられていたようなのですが、最近落ち着いたらしいです。ふーん。

 ……という設定が「逃走中」にはあるのですがこんな設定に鼻息を荒くしている人は少数派である様に思います。「逃走中」「戦闘中」(昔は「護衛中」「密告中」なんかもあった……気が)はテレビのジャンルで言えばもちろんバラエティなんですけど、個人的には「ドラマの中でやってる小道具としてのバラエティ」なのです。私はそういうドラマっぽいストーリーとリアルのゲームを組み合わせたコンテンツに弱い。

 例えば「リアル脱出ゲーム」は謎解きがメインですが、公演によってはストーリーがありドラマの中に入ったような気分になります。私も何度か囚人になったり生徒になったりしました。脱出率は低くルーム型は全敗です。でも楽し〜〜〜のでまた行きたい。プレイしている最中は謎解きに必死でロールプレイングしている余裕などないのですが、閉じ込められた!という体験をすることそのものが楽しい!非日常!ドラマ!って感じ。それはそれとしてもっと謎解きで活躍できるようになりたいですが……

 リアル脱出ゲームといえば昔々に「リアル脱出ゲームTV」なるドラマがバカリズム主演で放送されていたのですが、あの番組もドラマと謎解き(しかも視聴者参加推奨)が組み合わされていて楽しかったなという記憶があります。バカリズム扮する謎男(爆弾テロ未遂犯)が毎回宣戦布告謎をテロ対策班に出してきて、視聴者も一緒に謎解きができるという構成で、謎を解くためには放送中のテレビを副音声にしてみたり双方向機能を使ったりしないといけない仕様。バカリズムの胡散臭さも含めて最高でした。

 

 このように、私は架空のストーリー設定と現実のゲームがミックスされたコンテンツが好きなのですが、好きになった原因は、はやみねかおる先生の作品『都会のトム&ソーヤ』にあります。何を隠そうこの作品、主人公の中学生2人組が究極の「R・RPG (リアル・ロールプレイングゲーム)」を作る話なのです。

【R・RPGボードゲームやテレビゲームなどの仮想現実ではなく、現実世界を舞台としたRPG

(引用: 講談社「都会のトム&ソーヤ完全ガイド」)

作中で作成・プレイされるR・RPGは各プレイヤーに役柄が配布され、ストーリーに沿って勝利条件を満たすために実際に行動する……はずなのですがだいたい主人公たちは殺されかけています。ゲームマスター曰くそれらはバグらしい。バグで殺されるなんてたまったものじゃないですが、主人公の片方は野生の勘持ちサバイバーなのであれやこれやでなんとか生還しています(気になる方はぜひ読んでください)そういえば「逃走中」シリーズも月の大企業争いのせいでバグ(?)が起こったりしていましたね。

 バグ云々は置いておいてR・RPGの何に惹かれるかというと、「プレイしているその人個人」が「ストーリーによって与えられる役柄」に干渉していることだと思います。たとえば「逃走中」なら逃げる側が「逃走者」という役柄を与えられるのですが、(それがどこまで作為的なものかはさておき)出演者そのものの人格をプレイ中に出してくれるんですよね。下衆キャラで売っているお笑い芸人は率先してヒール役をやったり、アスリートはハンターに恐れ抱かながちだったりする。

 「逃走中」「リアル脱出ゲーム」はロールプレイング要素が少ないとはいえプレイヤーたちは何らかの役割を与えられある程度ストーリーに沿って行動することになるので、できることは決まってきます。ハンターに殴りかかっても勝つことはできないし、囚人のくせにリアル脱出ゲームのGMを脅しても部屋から出ることはできないわけですよ(なぜならそういう役柄なので)ただ、その中でいろいろな思惑があって動的に変化している(ように見える)ようなコンテンツはプレイするのも見るのも面白いなあと思います。

 

 余談ですが「プレイしているその人個人」が「ストーリーによって与えられる役柄」に干渉している、というので私がまず考えるのはTRPG(特に一般的なクトゥルフ神話TRPG)です。しかし、現実世界でゲームをプレイすることとは楽しみ方が全然違うように思います。TRPG(特にオンライン上で行うゲーム)で、「逃走中」でハンターが横を通り過ぎる音や風に伴う恐怖感を再現することは難しいでしょう。逆に、今の技術で現実世界に存在させることが難しいような怪物(たとえばテケリ・リ!と鳴く真っ黒な粘液)は、TRPGの描写とプレイヤーの想像力が発揮されたら下手な現実よりとっても怖いと思います。

 

 

 今日の記事のタイトルは「○○は受信機なんです」という好きなボカロ曲の歌詞から引いてきました。つまり今日の記事において私が好きなコンテンツは何かっていうと、"現実"世界に存在する"夢"のようなストーリーという庭の中に役割とルールを与えたプレイヤーを配置して、どんな風に庭が完成して(あるいは荒れて)いくのかなっていうのを、庭の中でプレイヤーになって奮闘したりあるいは庭師(GM)になって眺めたり、現実世界のイチ視聴者になって眺めたりする構造が好きってことです(ここで無理やりまとめる)

 

 それではまた配信でお会いしましょう。もずく