映画『カラオケ行こ!』感想

どうも、もずくです。

マクドナルドで『紅』を聞きながらこれを書いています。

まさかの2連続映画記事。(前記事は読まなくていいですが……)

ここから先はネタバレしかないので、「監督が野木亜紀子さん」「ヤクザの綾野剛」「合唱コンクールor合奏コンクールに思い入れがある」などのワードに覚えがあるなら、観に行ってからこの記事を読んでほしいですワ
また、脳から直接取り出した精製していない文章が展開されております。

映画を観る前のあれこれ


この作品のことは上映前から何となく気になっていました。
それはひとえに脚本が野木さんだったからにほかなりません。

好きなもの百裂拳でも書いた通り、野木さんが脚本を書かれている『アンナチュラル』というドラマが好きです。
また、世界観が連続している『MIU404』も好き。ドラマに出てくるキャラクターが全員バックグラウンドを感じられるような描かれ方をされていて、まあありていに言えば「い、生きてる……!」みたいなところがいいですよね。

ですが、映画って最近高いじゃないですか。気になる映画を全部見に行くのは懐的に厳しい。特に、「カラオケ行こ!」は邦画の中でも割とほのぼの寄りなのかな、だったら劇場の音響でわざわざ見なくても、配信されるのを待っていてもいいかな……と思っていたわけです。

そのような精神で友人に「『カラオケ行こ!』気になってるんだよね」と言うじゃないですか。

原作の漫画(代のアマギフ)が送られてきました。

さすが私の友人です。愛。

原作の漫画の絵に見覚えがあると思ったら、『女の園の星』の作者さんでした。これも途中で読むのやめてしまったやつなので、また読み進めたいです。
漫画は、きれいにまとまっていてオーと思いましたが、正直「この内容をわざわざ映画に……?」と思いました。
あまり漫画・小説原作の邦画を見てこなかった、ないしは原作があることを知らず映画だけ観に行くタイプだったので、いまいち原作を下敷きにした作品のまとめ方というものが分からないんですよね。例外は東野圭吾の『プラチナデータ』『マスカレードホテル』あたりでしょうか、読んでから映画観た作品……

原作を読んだ時に「狂児、全然綾野剛の顔じゃなくないか?」とも感じました。予告画像見たらやっぱりちょっと違うし……?あとなんで主題歌がリトグリ……??

もずく「主題歌がリトグリの紅のせいで笑っちゃうんだけど」
友人「エンドロールまでがギャグ」 (当時のやりとり)

しかし、ヤクザの綾野剛に期待せざるを得ませんでした。私はちょろい女オタクであることを自覚しています。

そんなこんなで、映画を観に来ました。

映画、ヤバかったです。画面の切り取り方、キャラ造形、どっちもすごい好き。2回目観に行きたいな……

そしてリトグリ、完全に涙腺を崩壊させに来ている

成田狂児(ヤクザの綾野剛)


ヤクザの綾野剛……!人間狂わせやめてもらっていいですか?
お前はヒモとしてやっていける男だよ、お前は……
部下込みでカラオケ練習するシーンでは完全にヤクザの人殺す目をしておいて、聡実くんといるときはふにゃって笑うの二面性すぎて笑っちゃう。ズルい。
そして、原作の狂児とは違ってそこもまた良いな、となりました。うまく言えないですが原作狂児のほうが血気盛んな気がする……?
原作狂児の方は血と拳が好きそう、綾野狂児は拳より武器を信じてそう(行き過ぎた偏見)。
他のヤクザの皆様も大変キャラが立っていてよかったです、こちらは原作を感じる。
組長の北村一輝イケメンすぎてびっくりしてました。スナックが似合う(そして、絵心がないのも分かる気がします)


合唱部という社会


友人と意見が大・一致してるのが「和田がんばれ」っていう応援のきもち。
聡実くんがどういう経緯で部長に、女の子が副部長になったのかはわからないのですが和田から見たら岡聡実は「歌がめちゃくちゃ上手い尊敬できる部長」なわけですよ。
中学生の時の先輩へのあこがれって、もはや一種の信仰みたいなところがあると思っていて(注: これは実体験です)、そういう意味で和田の作中での一連の行為って全部「わ、わかる~~~~!!」となるんですよね。これは大人になってもそうかもしれませんけど、能力的にめっちゃできて人間的にも尊敬できる人が急にサボっているように見えたらギャップで落ち込んじゃうじゃないですか。なんでこんなに能力があるのに全力出してくれないんだろう、みたいな、人間の一面だけを見て勝手に期待して勝手に落ち込むやつですね。この時の和田君は聡実くんがソプラノ音域出せなくて悩むなんて想像もしえないわけですから……
女子副部長偉すぎる。中3ってもっと子供じゃなかった!?!?私が副部長の立場だったら泣いてるよ。彼女だけ人生2週目でしょ。

聡実、実質デビューしてる


この映画は原作からちょこちょこ改変したり、追加されたシーンがあります。
そのうちの1つが、XJAPAN『紅』の歌詞和訳シーンです。このシーンなじみすぎてて原作にもともとあったかと勘違いしてました。
あれをやる岡聡実、グループバトルの高見文寧か??
高見文寧は日プ女子(サバイバルオーディション番組)の課題で秋元康楽曲を歌うのに「歌詞の中に出てくる【君】という存在を具体的にしたほうがいいです。それは観客なのか、それとも観客に君とのストーリーを見せているのか……」とか言ってくる表現力・歌唱力おばけなのですが、やってること(英歌詞の解釈の具体化)一緒で聡実くんのセンス◎~~
これは合唱あるあるなんですかね?あんまり合唱の経験が無いので分からない。
つまり岡聡実はデビューってことなんですよ。
歌詞の再解釈という点で共通点があるのはKevin's English Roomさんのチャンネルに上がっている動画で。

日英仏3ヶ国語で『水平線/back number』歌ってみた【100万人記念】 - YouTube


この歌ってみた動画は日本語の歌詞の一部を英語詞とフランス語詞に翻訳して歌っているものです。聞いたことない方はぜひ聞いてみてほしいのですが、Cパートのフランス語歌詞で毎回呼吸が止まるような感覚になります。これと関西弁『紅』交互浴したいので作中歌のCD作ってほしい

 

映画を観る会


追加シーン2個目。
特に大きく追加されたのは「映画を観る会」(でしたっけ?パンフとシナリオブック未読なので間違っていても許してください)のシーン。
これらのシーン群、すごい聡実くんのパーソナリティを知るのに嬉しいんですよね。原作にない聡実くんのパーソナリティがそこに、ある。
というか、会長さんとの掛け合いがすごい、映画だあって思いました。このご時世、「上映中はスマホ禁止やで」とか、友人でもなかなか言えなくないですか?
ラストの方のシーンで、「幻だったんちゃう?」とか言うの、映画を観る人だ……となりました(2度目)
セリフが天才すぎるし、それを適度な中3っぽさ?で喋ってるのが良い。あの部室だけ空気がやわらかいんだよな。

 

青春カルボナーラに愛の半熟卵


作品全体のメインは登場人物たち(特に聡実と和田、ときどき狂児)の成長物語だと私は認識しています。
序盤の聡実くんが、ラストではミナミ銀座でヤクザに囲まれながら歌を歌っているんですよこれを成長と言わずしてなんというのか。
リアル中学の青春のきらめきすぎて、「私には無い青春だァ……!」ってちいかわになっちゃった。疲れた大人にはちょっとハイカロリーすぎ。
でもよく考えたら映画を観る会みたいな感じの空気感の団体には入っていたな?人には人の青春があります。
それはそれとして、作品全体を「愛」というベールがふんわり覆っているのが、めっちゃ刺さるんですよね。
映画を観ながら「愛ってなんやろな」とか、ももちゃん先生が「愛が足りなかったかな?」とか。
たぶん、中学生の私があの合唱部にいたら「はっきり愛とやらを説明したうえで指導しろや」って内心思ってたはず。しかし、愛って定義できないんですよね……

 

「これが愛じゃなければなんと呼ぶのか僕は知らなかった」(米津玄師/馬と鹿)

 


って米津玄師御大もおっしゃっていますからね。
あまりにもあの映画は愛と呼べる関係性(名前がついているものを挙げるなら、友愛とか母性愛とか)の種類が多すぎて、しかもそれを観客側にほんのりと伝えてくるような描写が多くて脚本演出演技すべてが最高ってことです。

 


映画を観た後、『ファミレス行こ。(上)』を読んで、それから主人公2人の関係に想いを馳せています。

この記事書き始める前は、狂児と聡実くんのことを掘り下げて書くつもりだったのに呻き声しか出てこない。

愛という言葉で括るのでは足りない。